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kintone活用!レンタカーDXで売上4倍で人員増はパート2名のみの成功事例をご紹介

コラムテーマ:業績アップ

いつもお世話になっております。
株式会社 船井総合研究所の宮原です。

さて、近年のレンタカー市場は、観光需要の回復や「所有から利用へ」という消費者の意識変化を背景に、個人向け・法人向けともに堅調な成長を見せています。しかしその一方で、多くの中小レンタカー事業者様からは、「人手不足が深刻で、業務が回らない」「予約管理や車両管理が煩雑で、ミスが減らない」「新規顧客の獲得方法が分からない」といった切実な悩みをお聞きします。

このような課題を解決し、更なる成長を目指すための鍵こそが、今回ご紹介するデジタルトランスフォーメーション(DX)です。本コラムでは、レンタカー事業におけるDXの可能性と、実際にDXによって飛躍的な業績アップを実現した企業の成功事例を、具体的なノウハウと共にお伝えします。

 

待ったなし!レンタカー業界におけるDXの現状と課題

レンタカー市場は、経済産業省の調査によると2024年には約3,972億円規模に達し、14年前と比較して70.0%も増加するなど、右肩上がりの成長を続けています。特に個人向け市場の伸びは著しく、91.6%増と活況を呈しています。

しかし、この成長市場の裏側で、事業成長に伴う課題を抱える中小レンタカー事業者も多く存在します。

慢性的な人手不足と採用難:少子高齢化による労働人口の減少は、地方はもちろん都市部においても深刻です。有効求人倍率は高止まりし、優秀な人材の確保はますます困難になっています。

人件費の高騰:最低賃金の上昇や採用競争の激化により、人件費は今後も上昇傾向が続くと予想されます。コスト増は利益を圧迫し、経営の安定を脅かします。

・アナログ業務の限界:手書きの予約台帳、Excelでの車両管理、電話中心の顧客対応といった「昔ながらのやり方」では、増え続ける業務量に対応しきれず、ヒューマンエラーの温床となりがちです。これが顧客満足度の低下や機会損失に繋がっているケースも少なくありません。

・集客競争の激化:大手チェーンや異業種からの参入に加え、近年ではAIを活用したWEBマーケティングも進化しており、従来の集客手法だけでは太刀打ちできなくなってきています。
これらの課題を放置すれば、せっかくの市場成長の波に乗り遅れるどころか、事業継続すら危うくなる可能性があります。だからこそ今、DXによる業務プロセスの抜本的な見直しと、新たな価値創造への挑戦が求められているのです。

 

DXでこう変わる!レンタカー事業の生産性向上戦略

DXと聞くと、「難しそう」「コストがかかる」といったイメージをお持ちの経営者様もいらっしゃるかもしれません。しかし、DXは単に新しいシステムを導入することではありません。デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスそのものを変革し、競争優位性を確立することが本質です。
レンタカー事業におけるDXは、大きく分けて「守りのDX」と「攻めのDX」の2つの側面から考えることができます。

◆守りのDX:徹底的な業務効率化とコスト削減◆
予約管理システムの導入:オンライン予約の自動化、ダブルブックの防止、リアルタイムな空車状況の把握を実現します。これにより、電話対応の時間を大幅に削減し、予約受付の機会損失を防ぎます。

・車両管理システムの活用:車両の位置情報、稼働状況、メンテナンス時期などを一元管理。最適な車両配分や、車検・点検漏れの防止による安全性の向上、車両の生涯収支の見える化による適切な車両入替判断などが可能になります。

・顧客管理システム(CRM)の導入:顧客情報、利用履歴、問い合わせ履歴などを一元管理し、きめ細やかな顧客対応やリピート促進に繋げます。
ペーパーレス化の推進:契約書や請求書、日報などを電子化することで、印刷コストや保管スペースの削減、情報共有の迅速化を図ります。

攻めのDX:新たな顧客体験の提供と収益機会の創出
データに基づいたマーケティング戦略:顧客データや予約データを分析し、ターゲット顧客に響くキャンペーンの企画や、効果的な広告配信を行います。

AIを活用した集客:AIライティングツールを活用したSEO対策用ブログ記事の作成や、AIチャットボットによる24時間365日の問い合わせ対応など、最新技術による集客力の強化が可能です。

新たな貸渡モデルの構築:例えば、無人貸渡システムの導入により、店舗の営業時間外でも貸渡を可能にし、顧客利便性の向上と人件費削減を両立する、といったことも考えられます。

他事業とのデータ連携:自動車販売や整備事業など、他の事業と顧客データを連携させることで、クロスセルやアップセルの機会を創出します。

これらのDX推進において、近年注目されているのが、kintone(キントーン)のようなノーコード・ローコードプラットフォームです。専門的なプログラミング知識がなくても、自社の業務に合わせて柔軟に業務アプリを開発・改修できるため、非IT部門のスタッフでも主体的にDXを推進しやすいという大きなメリットがあります。実際に、船井総研が提供する「レンタカーグロースクラウド」もこのkintoneをベースに開発されており、多くのレンタカー事業者様の業務効率化と業績アップを支援しています。

 

【成功事例】DX導入による生産性向上と持続的成長

ここで、実際にDXを推進し、目覚ましい成果を上げているレンタカー事業者様の事例をご紹介します。神奈川県で自動車関連事業を展開するA社は、2022年にレンタカー事業に本格参入。わずか3年で売上約1億円を達成するという急成長を遂げました。その成長の裏には、徹底したDX戦略がありました。

導入前の課題:アナログ管理の限界と機会損失

A社がレンタカー事業を本格的に開始した当初、予約管理はホワイトボードと紙、車両管理はExcelといったアナログな手法で行われていました。事業が拡大するにつれて、以下のような課題が顕在化しました。
・予約情報の錯綜やダブルブッキングのリスク
・煩雑な事務作業によるスタッフの疲弊と残業時間の増加
・正確な収支管理や経営判断に必要なデータの不足
・顧客情報の共有が不十分で、きめ細やかな対応が困難

「このままでは事業成長に限界がある」と感じたA社は、DXによる業務改革を決断します。

DX導入の決断と具体的な取り組み:kintoneベースの独自システム構築
A社が選んだのは、船井総研のノウハウが詰まったkintoneベースのレンタカー管理システム「レンタカーグロースクラウド」でした。このシステムを基盤としながら、自社の業務フローに合わせて以下のようなカスタマイズと運用体制を構築しました。

予約・車両・顧客情報の一元管理:ガントチャート形式で見やすい予約管理画面、車両ごとの詳細情報(車検日、点検履歴、コスト、レンタル履歴)を網羅した車両管理、過去の利用履歴もわかる顧客管理を実現しました。
業務自動化による効率アップ:車検・点検アラート機能:車検や法定点検が近づいた車両を自動でリストアップし、トップページに表示することで、実施漏れを徹底的に防止。
KPI自動集計:貸渡件数、稼働率、売上などの重要経営指標(KPI)をシステムが自動で集計・グラフ化。Excelへの転記作業をなくし、リアルタイムな経営状況の把握を可能にしました。
請求書・入金伝票の自動作成:予約情報から請求書や入金伝票を自動で作成し、経理業務の負担を大幅に軽減しました(オプション機能)。
メールテンプレート活用:見積もり依頼への返信や配車前案内など、頻繁に送信するメールのテンプレートをシステムに登録。ワンクリックで呼び出し、一部編集するだけで送信可能にし、顧客対応のスピードと質を向上させました。
回送・回収予定リストの自動作成:直近の配車・回収予定を自動でリスト化し、対応状況もシステム上で共有。抜け漏れを防ぎ、スムーズな車両運用を実現しました。
反響管理と失注分析:問い合わせ内容、顧客情報、希望車種、成約・失注理由などをシステムに蓄積。これらのデータを分析し、「なぜ失注したのか」「どの車種の引き合いが多いのか」を把握することで、仕入れ計画やマーケティング施策の精度を向上させました。

導入後の驚くべき成果:売上160%成長を少人数で達成!

これらのDXの取り組みにより、A社は目覚ましい成果を上げています。

売上高の飛躍的向上:レンタカー事業参入2年目で売上成長率288.1%、3年目には161.7%を達成し、単年で売上約1億円規模にまで成長しました。

生産性の劇的向上:売上が160%以上成長したにも関わらず、その間の増員はパートスタッフわずか2名のみ。DXによる業務効率化が、いかに少人数での高生産性運営を可能にするかを証明しています。

残業時間の削減と経営判断の精度向上:煩雑な手作業が大幅に削減されたことで、スタッフの残業時間は減少し、より付加価値の高い業務に集中できるようになりました。また、リアルタイムで正確な経営データを把握できるようになったことで、経営判断のスピードと精度も向上しました。

A社の成功は、DXが単なるコスト削減ツールではなく、事業成長を加速させる強力なエンジンとなり得ることを示しています。

 

まとめ:DXは経営改革。最初の一歩は「自社の課題整理」から

本コラムでは、レンタカー事業におけるDXの重要性と、A社の成功事例を通じて具体的な取り組みをご紹介しました。A社の事例から学べることは、DXは単なる流行りのツール導入ではなく、経営者の強いリーダーシップのもと、業務プロセス、そして時にはビジネスモデルそのものを見直す「経営改革」であるということです。

「どこから手をつければ良いのか分からない」とお悩みの経営者様もいらっしゃるかもしれません。船井総研では、まず「自社の課題を正しく認識し、優先順位をつける」ことから始めることを推奨しています。何に一番時間がかかっているのか?どこでミスが多発しているのか?お客様は何に一番不満を感じているのか?これらを徹底的に洗い出すことが、DX成功への第一歩です。
そして、「導入して終わり」にしないことも大切です。A社のように、導入したシステムを現場で使いこなし、自社の業務に合わせて常に改善を続ける(カスタマイズする)姿勢が、DXの効果を最大化します。

 

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このコラムを書いたコンサルタント

宮原 拓司 (みやはら たくじ)

人材派遣・人材紹介企業向けのコンサルティングを経験後、モビリティ支援部に配属。 ガソリンスタンドや整備工場向けの業績アップ支援、 レンタカー事業立上げ及び業績アップ支援など様々な領域でモビリティ企業の経営活動のサポートを行っている。 モビリティ支援部にて主催するガソリンスタンド経営研究会、レンタカー経営研究会にて講師・ファシリテーターを務めている。

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