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レンタカー事業を最速で成長させるために、自動車販売店がやるべきこと

コラムテーマ:業績アップ

いつもお世話になっております。
株式会社 船井総合研究所の宮原です。

「レンタカー事業に参入したものの、なかなか成長スピードが上がらない」「中古車販売との相乗効果を早期に実現し、収益の柱に育てたい」――。自動車販売店の経営者様から、このような声をお聞きすることが増えています。変化の激しい市場環境において、新規事業を軌道に乗せ、最速で成長させることは、企業が持続的に発展するための重要な鍵となります。
本コラムでは、自動車販売店がレンタカー事業を「最速で」成長させるために、今すぐ取り組むべき具体的な戦略と戦術を、船井総合研究所のコンサルティング事例を基に徹底解説いたします。明日から実践できるヒントが満載ですので、ぜひ最後までお読みください。

 

なぜ今、レンタカー事業で「最速成長」が求められるのか?~市場の追い風を掴む~

レンタカー市場は法人・個人ともに堅調な成長を続けています(2023年の自動車賃貸業(レンタル)売上高は前年比121.6%の3,745億円)。この成長市場の波に乗り遅れることなく、早期に事業基盤を確立することが、将来の大きなアドバンテージに繋がります。
一方で、中古車販売市場はAA相場の高騰や大手事業者の寡占化が進むなど、競争環境は厳しさを増しています。このような状況下で、レンタカー事業を迅速に立ち上げ、中古車販売事業とのシナジー(レンタアップ車の販売、顧客接点の増加など)を早期に最大化することは、企業全体の収益性向上と経営安定化に直結します。まさに「時は金なり」であり、最速での成長戦略が不可欠なのです。

 

眠れる資産を即収益化!「内需」活用で最速スタートダッシュ

レンタカー事業を最速で成長させるための最初のステップは、「社内に眠る需要=内需」を徹底的に掘り起こし、即座に収益に転換することです。

・車販納車待ち顧客への有料レンタカー提供: 新車・中古車を問わず、納車までに時間を要するお客様に対し、有料でレンタカーを提供します。モデル企業では車両を販売したお客様へのレンタカーで年間売上1,500万円超という事例も出てきています。「無料代車が当たり前」という固定観念を捨て、お客様に価値を説明し、適正な価格で提供することが重要です。

・整備・鈑金時の代車有料化: 同様に、整備や鈑金で車両をお預かりする際の代車も、有料のレンタカーとして提供します。ある関東圏の成功企業では、この「顧客向け貸出し(整備・鈑金等での代車)」で年間4,000万円を超える売上を上げています。お客様の利便性を考慮しつつ、保険会社の代車特約利用なども含めて、提案の幅を広げましょう。

これらの「内需」は、既に接点のあるお客様が対象であるため、新規集客コストがほぼゼロで済み、かつ高い成約率が期待できます。初期のレンタカー車両は、下取り車や長期在庫車を有効活用することで、仕入れコストも抑制可能です。この「内需の収益化」こそが、最速成長への第一歩です。

 

ステップ2:一点突破で市場を掴む!「法人長期」と「専門WEB」で急成長軌道へ

内需である程度の収益基盤が整ったら、次に特定のターゲット市場にリソースを集中し、一点突破でシェアを獲得することで、成長スピードを加速させます。

・「法人向け長期レンタカー」への特化:法人向けの長期(ウィークリー/マンスリー)レンタカーは、安定した収益が見込める有望市場です。納車引き取り対応のビジネスモデルであるため、郊外立地でも展開可能です。長期貸出しに特化するため、一般的なレンタカー事業と比べると洗車・清掃の頻度も抑えられるため、価格競争力を出しやすいというメリットもあります。ある神奈川県の成功企業も、地域名を冠した専門ブランドでこの分野に注力し、年間2,000万円以上の売上を達成しています。

・「格安中古車マンスリー」というニッチ市場開拓: 下取り車などを活用し、「とにかく安く長期間借りたい」というニーズに応える格安マンスリーレンタカーも有効です。九州地方のある企業では、マンスリーレンタカーで月平均600万円以上の粗利を上げています。

・専門WEBサイトによるダイレクト集客: ターゲットを絞ったら、その顧客層に響く専門のWEBサイトを構築し、的確なWEB広告(リスティング広告、バナー広告など)を展開します。ある成功企業の事例では、月間平均80件以上の問い合わせを獲得し、その約30%がLINE経由というデータもあり、顧客接点の多様化も重要です。重要なのは、「何でも屋」ではなく「専門店」としての強みを打ち出すことです。

これにより、大手レンタカー会社との無用な価格競争を避け、特定の顧客層から圧倒的な支持を得ることで、短期間での市場ポジション確立と収益拡大を目指します。

 

成功企業の事例に学ぶ!3年で売上1億円を実現した高速成長エンジンとは?

神奈川県の自動車販売事業を主力とする企業(以下、A社とします)は、レンタカー事業参入後わずか3年で売上約1億円という驚異的なスピードで成長を遂げました。その原動力は何だったのでしょうか?

1. 既存事業シナジーの徹底活用(初年度): 車販顧客や整備・鈑金顧客への「顧客向け貸出し」で初年度から約1,700万円超(整備・鈑金代車、販売時利用の代車、損害保険利用の代車の合計)の売上を確保し、安定したスタートを切りました。

2.ターゲットを明確にした新規市場開拓: 「法人向け長期レンタカー」という成長市場に照準を合わせ、独自の専門ブランドを立ち上げ、専門WEBサイトからの集客を強化。これにより「一般貸出」の売上が初年度の約260万円から2年目には約1,500万円へと急拡大しています。

3.DXによる徹底的な効率化と少数精鋭体制: A社の事例では、売上が2年間で約2.8倍(約2,000万円→約5,800万円)に拡大する一方、人員数は正社員1名、パートスタッフ3名の体制を維持し、2年目もほぼ同人数で運営(3年目にパートスタッフを若干名増員)。これを可能にしたのが、クラウド型業務改善プラットフォームを活用した予約・車両・顧客・売上管理のシステム化です。これにより、生産性を飛躍的に高め、スピーディーな事業拡大を実現しました。

A社の事例は「既存資源の活用」→「成長市場への一点集中」→「DXによる効率化」という、レンタカー事業を最速で成長させるための王道パターンを示しています。

 

まとめ

自動車販売店がレンタカー事業を最速で成長させるためには、
1.既存顧客へのアプローチによる「即時収益化」
2.「法人長期」などの特定市場への「一点集中」と効果的な「WEB集客」
3.事業初期からの「DX推進」による徹底的な「業務効率化」
この3つのポイントを連動させ、スピーディーに実行していくことが何よりも重要です。

本コラムで触れたモデル企業をはじめとする成功企業の事例は、決して特別なことではなく、明確な戦略と実行力があれば、どの企業でも実現可能な道筋を示しています。「まずはやってみる」という姿勢で、本コラムでご紹介した「やるべきこと」に一つでも多くチャレンジしてみてください。

 

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本コラムをお読みいただきありがとうございました。
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このコラムを書いたコンサルタント

宮原 拓司 (みやはら たくじ)

人材派遣・人材紹介企業向けのコンサルティングを経験後、モビリティ支援部に配属。 ガソリンスタンドや整備工場向けの業績アップ支援、 レンタカー事業立上げ及び業績アップ支援など様々な領域でモビリティ企業の経営活動のサポートを行っている。 モビリティ支援部にて主催するガソリンスタンド経営研究会、レンタカー経営研究会にて講師・ファシリテーターを務めている。

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