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【時流適応の新規事業】郊外立地・少人数でも勝てる!「長期専門レンタカー」という高収益ビジネスモデルの全貌

コラムテーマ:事業戦略

「新しい収益の柱が欲しいが、何から手をつければいいか分からない」「人手不足で、これ以上事業を拡大するのは難しい」「本業の中古車販売や整備事業の先行きに、漠然とした不安がある」これは、私たちが日々のコンサルティングの現場で、多くの中小企業経営者様からお聞きする切実な悩みです。特に自動車業界は、市場の変化や人材確保の難しさなど、多くの課題に直面しています。
しかし、もし「市場が右肩上がりに成長しており」「少ない人員でも運営可能で」「既存事業との相乗効果で本業まで伸ばせる」という、まさに“一石三鳥”のビジネスモデルがあるとしたら、ご興味はおありでしょうか。
本コラムでは、その答えとなる「長期専門レンタカー事業」について、なぜ今このビジネスが中小企業にとって大きなチャンスとなるのか、そして、ゼロからスタートしてわずか3年で粗利1億円を達成した企業の事例を交えながら、成功のための具体的なステップを徹底解説します。貴社の次の一手を考える上で、必ずヒントが見つかるはずです。

今回のコラムのポイント
・成長市場×省人化モデル:「長期特化」がもたらす圧倒的な競争優位性
・DX活用が成否を分ける:少人数で売上を最大化するシステム経営
・本業との相乗効果:中古車事業を加速させる「レンタアップ戦略」

 

追い風のレンタカー市場と、中小企業が抱える課題

まず、レンタカー市場の現状を見てみましょう。経済産業省の調査によれば、自動車賃貸業(レンタル)の市場規模は年々拡大しており、2024年には約4,000億円(前年比106%)となりました。これは14年前と比較すると70%もの増加であり、法人向け・個人向けともに堅調に推移しています。まさに、追い風が吹いている成長市場と言えるでしょう。

しかし、この成長市場に参入するには、特に中小企業にとっていくつかの壁が存在します。その一つが深刻な「人手不足」です。ご存知の通り、日本の労働人口は減少の一途をたどっており、有効求人倍率は高い水準で推移しています。賃上げも社会的な要請となる中、新たな事業のために人材を確保し、人件費を捻出することは容易ではありません。
また、旅行者などをターゲットとする一般的な短期レンタカー事業は、駅前や空港近くといった「一等地への出店」が成功の鍵を握ります。これにより高額な地代家賃が発生する上、大手レンタカー会社との厳しい価格競争にさらされることになります。さらに、貸出・返却の頻度が高いため、受付や洗車・清掃といった現場のオペレーションが煩雑になりがちで、多くの人手を必要とします。
このような課題を前に、新規参入をためらってしまう経営者様も少なくないのが現実です。

 

なぜ今「長期レンタカー」が中小企業の”勝ち筋”なのか?

そこで私たちが提唱するのが、ビジネスモデルを「法人向け・長期利用」に特化させるという戦略です。短期利用とはビジネスモデルが根本的に異なり、中小企業が持つ強みを最大限に活かすことができる、まさに「力相応一番化」の考え方を体現した戦略です。その強みは、大きく5つ挙げられます。

1. 省人化・高生産性:
貸出期間がウィークリーやマンスリーのため、貸出・返却の頻度が圧倒的に少なく、洗車や事務手続きといった日々の業務量が削減できます。来店を前提としない「配車・引取モデル」を基本とすれば、店舗に常駐するスタッフも最小限で済みます。

2. 安定した収益モデル:
一度契約が決まれば、数週間から数ヶ月単位で安定した収益が見込めます。短期レンタカーのように日々の稼働率に一喜一憂する必要がありません。

3. 低コストでの運営:
顧客は主に近隣の法人や、納車待ち・修理中の個人です。そのため、駅前の一等地は不要。賃料の安い郊外の土地や、既存事業所の空きスペースを活用できるため、固定費を大幅に抑えることが可能です。

4. 中古車の有効活用:
本業が中古車販売や整備であれば、仕入れた中古車や下取り車、販売用の長期在庫車などをレンタカー車両として活用できます。これにより、車両調達コストを抑えつつ、新たな収益源を生み出せます。

5. 大手との競争回避:
長期利用に特化し、中古車を活用することで、大手には真似のできない圧倒的な低価格を実現できます。

このように、長期レンタカーは、人・モノ・カネといったリソースが限られる中小企業にとって、非常に合理的で勝ちやすいビジネスモデルなのです。

 

【成功事例】神奈川県A社:参入3年で粗利1億円!驚異の成長を支える事業戦略

この長期レンタカーモデルで、実際に大きな成功を収めているのが、私たちの支援先である神奈川県の株式会社A社様です。同社は中古車販売や整備事業を主力としながら、2022年9月期にレンタカー事業に本格参入。わずか3年後の2024年9月期には、レンタカー事業単体で粗利約1億円を見込むまでに急成長を遂げました。

驚くべきはその生産性です。この間、レンタカー車両台数は57台から138台へと倍以上に増えましたが、人員は正社員1名を維持したまま、パート・アルバイトを2名増員しただけでこの成長を支えています。なぜ、このような急成長と省人化を両立できたのでしょうか。その秘訣は「本業シナジーの最大化」と「DXによる徹底的な効率化」にありました。

・成功の要諦①:本業シナジーの最大化(レンタアップ戦略)
同社は、単にレンタカーを貸すだけではありません。中古車販売事業という「長所」を活かし、1台の車から得られる収益を最大化する仕組みを構築しました。具体的には、販売用の長期在庫車を一時的にレンタカーとして活用し、レンタル料で収益を上げます。そして、半年から1年ほどレンタルされた車両は「レンタアップ車」として、状態の良い中古車として店頭で販売するのです。

これにより、「在庫の現金化」「レンタカーとしての収益」「良質な中古車在庫の確保」「販売による利益」という、まさに一石四鳥の効果を生み出しています。

・成功の要諦②:DXによる徹底的な効率化
事業開始当初、同社はホワイトボードで予約や車両を管理していましたが、台数の増加とともにすぐに限界を迎えました。そこで、kintoneをベースとした「レンタカーグロースクラウド(船井総研による提供)」を導入し、業務のデジタル化を断行。予約・車両・顧客・売上・KPIといったあらゆる情報を一元管理できるようにしました。
これにより、例えば「どの車両がいつまで貸し出されているか」が一目でわかるガントチャートでの予約管理や、翌月に車検を迎える車両リストの自動作成、日々の売上や稼働率といった重要指標(KPI)の自動集計などが可能になり、経営判断のスピードと精度が飛躍的に向上しました。

 

明日から始める!長期レンタカー事業成功への3ステップ

A社様の事例は特別ではありません。正しいステップを踏めば、どの企業様にもチャンスはあります。私たちは、成功のために以下の3ステップを推奨しています。

・ステップ1:「内需強化」から始める(自動車販売店向け)
まずは、外部に新規顧客を求めるのではなく、
自社の既存顧客に目を向けます。例えば、車販時の納車待ちのお客様や、整備・鈑金でお預かりしたお客様への代車です。これまで無料で行っていた代車サービスを見直し、「1日2,000円」といった形で有料のレンタカーとして提供することから始めましょう。ほとんどのケースで、お客様からのクレームなくスムーズに有料化できています。これは、新たな投資をほとんどせずに始められる、最も確実な第一歩です。

・ステップ2:「専門ブランド」を確立し、Web集客で新規顧客を開拓する
内需で事業の足場を固めたら、次に外部の新規顧客獲得に乗り出します。その際、鍵となるのがWeb集客です。法人や個人事業主は、「(地域名) 長期 レンタカー」「(地域名) マンスリー レンタカー」といったキーワードでWeb検索し、業者を探すのが一般的です。 この需要を獲得するために、長期利用に特化した専門のWebサイトを立ち上げましょう。本業とは別の専門ブランド名を掲げることで、顧客に「長期専門」という強みが伝わりやすくなります。サイトが完成したら、リスティング広告やSEO対策(ブログ記事の投稿など)を展開し、安定的な問い合わせを獲得できる仕組みを構築します 。事例でご紹介したA社様も、Webサイト経由で月間平均80件以上の問い合わせを獲得し、事業成長の大きな原動力としています。

・ステップ3:「出口戦略」を明確にし、車両の収益性を最大化する
レンタカー事業の収益は、レンタル料だけで決まるわけではありません。「(レンタル収益合計+車両売却額)-(車両購入費+維持管理費)」で算出される、車両1台あたりの生涯収益を最大化することが重要です。そのためには、車両購入時から「出口戦略(=いつ、どのように売却するか)」を明確に描いておく必要があります。 例えば、「2年間レンタカーとして運用した後は、グループ内の中古車販売店にて小売りする」「車種ごとにレンタカー期間を決め、流通相場が大きく下落する前に中古車オークションに出品する」といったルールをあらかじめ決めておきます。これにより、価値が下がりにくい車種を選んで仕入れたり、計画的な車両の入れ替えを行ったりすることが可能になり、事業全体の収益性を大きく高めることができます。

 

まとめ

本コラムでは、中小企業が今こそ取り組むべき新規事業として、「長期専門レンタカー事業」の大きな可能性について、具体的な成功事例を交えながら解説しました。

多くの業界で人手不足やコスト増が深刻な経営課題となる中、数少ない成長市場であるレンタカー業界は大きなビジネスチャンスを秘めています 。このような事業環境下で成功を収めるには、まさに「時流適応」が求められます。「省人化」「高収益」「低コスト」を同時に実現できる長期レンタカー事業は、多くの経営者様が抱える悩みを解決する極めて有効な解決策となり得ます。

成功の鍵は、事例A社が証明したように、「①長期・法人に特化したビジネスモデルの構築」「②自社の強みを活かしたシナジー戦略(長所伸展)」「③DXによる徹底的な生産性向上」の3つに集約されます。これらが三位一体となって機能して初めて、競合を圧倒する強力な競争優位性が生まれるのです。

成功のためには、本コラムで示した戦略に基づいた、明確な事業計画の策定が不可欠です。市場の機会を捉え、自社の強みを最大限に活かすことで、「長期レンタカー事業」は単なる新規事業に留まらず、会社全体の収益構造を改革し、未来の成長を牽引する中核事業へと発展する大きな可能性を秘めています。

 

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このコラムを書いたコンサルタント

宮原 拓司 (みやはら たくじ)

人材派遣・人材紹介企業向けのコンサルティングを経験後、モビリティ支援部に配属。 ガソリンスタンドや整備工場向けの業績アップ支援、 レンタカー事業立上げ及び業績アップ支援など様々な領域でモビリティ企業の経営活動のサポートを行っている。 モビリティ支援部にて主催するガソリンスタンド経営研究会、レンタカー経営研究会にて講師・ファシリテーターを務めている。

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