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「初期投資無しで始める新規事業」自動車販売店がやるべきレンタカーのビジネスモデルとは

コラムテーマ:事業戦略

いつもお世話になっております。
株式会社 船井総合研究所の宮原です。
近年の自動車販売市場は、販売台数の伸び悩み、オークション相場の高騰、そして大手事業者の出店加速など、厳しい状況が続いています。既存事業の強化はもちろん重要ですが、将来を見据え、新たな収益の柱を模索されている経営者様も多いのではないでしょうか。
そこで今回ご提案したいのが、「レンタカー事業」です。レンタカー市場自体は、法人・個人向けともに契約台数が増加傾向にあり、成長市場と言えます。
「レンタカー事業なんて、多額の車両購入費がかかるだろう」
「初期投資無しで始められるなんて、本当だろうか?」
そう思われるかもしれません。確かに、ゼロから車両を大量に仕入れる従来型のレンタカー事業は、大きな初期投資が必要です。
しかし、自動車販売店の皆様には、すでに活用できる「既存資産」があります。この資産を最大限に活かすことで、実質的な初期投資を限りなく抑えたレンタカー事業を始めることが可能です。
今回のコラムでは既存資産をうまく活用してレンタカー事業に参入した事例と自動車販売店がやるべきレンタカー事業の成長戦略について解説します。

 

自動車販売店が持つ「眠っている資産」とは?

◆車両:
・長期在庫となっている中古車や新古車
・下取りで入庫した、小売には少し古い・走行距離が多い車両
・これまで無料で提供していた整備・鈑金・納車待ち用の代車

◆場所・設備:
・既存の店舗スペース、駐車場
・自社の整備工場(車両メンテナンスに活用)

◆人材・ノウハウ:
・車両知識が豊富なスタッフ
・整備士によるメンテナンス能力
・既存の顧客対応ノウハウ

◆顧客基盤:
・すでに取引のある車販顧客、整備・鈑金顧客

これらの既にある資産をそのまま活用し、収益に変える。それが、自動車販売店ならではのレンタカービジネスモデルのポイントです。

 

【ビジネスモデル解説】「実質初期投資無し」で始めるレンタカー事業 3ステップ

では、具体的にどのように進めるのか?実際の船井総研のクライアントの成功事例も踏まえ、3つのステップで解説します。

ステップ1:「内需」から着実にスタート(低リスク・高確実性)
まずは、最もリスクが低く、確実性の高い「既存顧客向けの有料代車サービス」から始めましょう。

・具体策: 整備・鈑金時の代車や、納車待ちのお客様への貸し出しを有料化します。

・ポイント: 既存の代車をレンタカー登録して再活用するため、新たな車両仕入れコストは不要です。実際に、無料代車を廃止し、1日1,000円~2,000円程度の料金でレンタカーとして提供している企業もあり、顧客からのクレームもなく移行できています。モデル企業においても、この「顧客向け貸出し」と「販売代車」で年間約5,700万円(2024年9月期)の売上を上げています。

ステップ2:「外需」へ展開(収益拡大フェーズ)
内需で基盤ができたら、次は外部の顧客獲得を目指します。

・具体策: 長期在庫や下取り車を活用した「格安長期(ウィークリー/マンスリー)レンタカー」を展開します。

・ポイント: 地域の法人(建設業、運送業など)や、安価な移動手段を求める個人(一時的な帰省、引っ越しなど)がターゲットです。大手レンタカー会社が高価格帯で提供している車種(例:ハイエースバン)も、中古車を活用することで半額程度の価格設定が可能となり、競争優位性を築けます。下取りで入庫した低年式の軽自動車などを活用し、「月額19,800円~」といった低価格帯で提供している事例もあります。

ステップ3:本業とのシナジー最大化(レンタアップ車両の小売戦略)
レンタカー事業は、それ単体だけでなく、本業である自動車販売との強力なシナジーを生み出します。

具体策: 一定期間レンタカーとして活用した車両を、自社の中古車商品(レンタアップ車両)として販売します。

ポイント:
1. レンタル収益である程度車両コストを回収できるため、中古車販売の利益率向上に繋がります。
2. 自社でメンテナンス履歴を把握しているため、品質の高い中古車在庫を安定的に確保できます。
3. 長期在庫車両をレンタカーとして活用することで、在庫回転率の改善にも貢献します。

モデル事例紹介:最小限の投資で大きな成果を上げた企業の視点

今回ご紹介したステップでレンタカー事業に参入された自動車販売店の実績をご紹介します。

・レンタカー参入1年目:レンタカー事業開始。まずは既存顧客向けの貸出し(整備代車、販売代車など)で約1,240万円の売上を構築。
・レンタカー参入2年目: 法人向け長期レンタカー(一般貸出)を本格化し、売上を大きく伸長。
・レンタカー参入3年目:レンタカー事業単体で売上約9,500万円を達成。特筆すべきは、この成長を支えたのが、DXツール活用による業務効率化であり、正社員数は1名のまま、パート従業員をわずか2名増員しただけで実現している点です。

 

まとめ:未来への投資としてのレンタカー事業

「初期投資無し」とは、魔法ではありません。それは、自動車販売店がすでに持つ「既存資産」を最大限に活用し、新たな現金の持ち出しを最小限に抑えて始める、現実的なビジネスモデルです。
このモデルは、厳しい市場環境を乗り越えるための一手となるだけでなく、
・収益源の多角化
・既存資産の有効活用
・本業(自動車販売)との相乗効果による成長加速
といった、多くのメリットをもたらします。
まずは、貴社の「眠っている資産」は何か、棚卸しをしてみてはいかがでしょうか?
レンタカー事業のスタートの切り方がわからないという方はぜひ本コラムの最後でご紹介しているセミナーへのご参加もご検討ください。

 

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このコラムを書いたコンサルタント

宮原 拓司 (みやはら たくじ)

人材派遣・人材紹介企業向けのコンサルティングを経験後、モビリティ支援部に配属。 ガソリンスタンドや整備工場向けの業績アップ支援、 レンタカー事業立上げ及び業績アップ支援など様々な領域でモビリティ企業の経営活動のサポートを行っている。 モビリティ支援部にて主催するガソリンスタンド経営研究会、レンタカー経営研究会にて講師・ファシリテーターを務めている。

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