【5分で読める!整備工場の黒字化ノート #1】整備工場の生産性向上は何をすればいいのか?

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更新日
執筆者浜中 健太郎
コラムテーマ自動車関連事業
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整備工場の経営者様へ

平素より大変お世話になっております。

整備工場経営研究会の浜中と申します。

これから週1回、皆様の会社の黒字化に役立つ情報を「5分で読める!整備工場の黒字化ノート」と題してお届けします。第一回目のテーマは、「整備工場の生産性はどうしたら上げられるか?」です。

まずは”生産性”を定義する

皆さんは、"生産性"と言われたら何を考えますか?

ここでの生産性は、以下の2つの式で考えていきたいと思います。

 

パターン① 整備士一人がいくらの粗利を稼いでいるか

生産性 = 粗利 ÷ 整備士数

パターン② 1時間の労働時間でいくらの粗利を稼いでいるか

生産性 = 粗利 ÷ 総労働時間

 

非常にシンプルなパターン①だけでも十分ですが、昨今の働き方改革の観点から残業時間等にも目を向けた、パターン②も同時に見ておくことを推奨します。

例えば、月間の整備粗利が300万円、整備士数3名のA社、B社があったとします。その他の条件設定として、料金や作業内訳もすべて同様とします。

その場合、パターン①で生産性を図るとA社もB社も生産性100万円となります。

しかし、パターン②で生産性を見るとどうなるでしょうか?

仮に、A社は550時間、B社は600時間で粗利300万円を生み出していたとすると、

A社の生産性 5,454円

B社の生産性 5,000円

となり、A社の方が生産性が高いということになります。

今回は、生産性をパターン①、②と定義しお伝えいたします。

生産性はどのように上げるのか?

ここまで皆さんと、生産性の定義を定めました。

次は、その定義に基づいてどのように生産性を上げていくのか?

ということに焦点を当てます。

 

生産性を上げる方法は、非常にシンプルです。船井総研では次の手順で考えています。

STEP1:集客・単価の最大化

STEP2:業務・作業の効率化

STEP3:規模の拡大(整備士採用、作業場の拡張)

 

STEP3については、生産性を向上させる話とは少し違った論点になるため、今回は割愛します。

STEP1:集客・単価の最大化

まず、生産性を考えるうえでやるべきことは、集客・単価の最大化です。

今回の生産性の定義①、②両方に粗利が入っていることからも分かると思いますが、『生産性を上げるために粗利を増やす』ということから逃げられません。

粗利は集客数×単価で決まります。この集客と単価を最大化させることからスタートすべきなのです。

集客と単価なら、単価を上げることから始めていきましょう。

単価はどのように上げていくか、これもいくつかポイントがあります。

単価アップのポイント①:入庫車両平均単価の向上

車検・点検・一般整備のように作業区分ごとに平均単価を出し、それらを上げるための取り組みを決めることが重要です。季節毎にニーズの高まる商品を決めて積極的にオススメしていくなどが上げられるでしょう。夏であれば、エアコン診断から、クリーニング、ガス補充など、冬時期であればタイヤ診断からタイヤの見積もり提出など、全体でやることを決めて実績を管理することで、この平均単価は向上します。

単価アップのポイント②:工賃(レバレート)の値上げ

次に考えるのは、工賃の値上げです。実施の難易度は業態によっても異なると思いますが、toC向けの工場であれば比較的に簡単に上げることはできると思います。

弊社のクライアント企業の中央値で10,000円、関東圏の国産車をメインに扱う工場で13,000円というのがあります。ここ数年で平均的に2,000~3,000円の工賃値上げを実施していますが、現状お客様の満足度が下がった、入庫率が下がったということはありません。

また、単価アップを推進する際に同時に考えるべき点もお伝えいたします。

それは、『価値の向上』です。

顧客満足度は価値/価格で決まります。

これは、価値を変えず、価格が上がれば相対的に顧客満足度は下がるということです。

ここまでは、価格を上げる話をしてきました。同時にお客様へ提供する価値をどのように上げていくか、これを同時に考える必要があります。

単価アップの落とし穴を避けるには

生産性向上の観点から外れますが、重要な論点であるため今回はこちらについてもお伝えさせていただきます。

先ほどお伝えした、価値/価格は経済学の基本中の基本的な考え方です。

顧客満足度は経済学的には需要に言い換えることができるかもしれません。

価格が上がれば、代替材(今回の文脈では競合企業)に流れていく、というシンプルなものです。

昨今のコストアップ型インフレの時代では、値上げはどうしても避けられません。

このような状況において、同時に価値をどう上げるかはセットで考えなければいけない論点です。ちなみにもっと最悪なパターンは、コスト増を飲み込む=値上げしないということです。もちろん戦略的に行っているならいいのですが、ただただ自社の利益を圧迫するだけの価格維持であれば考え直す必要があります。

価格が上がる、上げざるを得ない状況の中、どのようにして提供価値を上げていけばいいのでしょうか?

個々の答えもシンプルです。価値向上のためにデジタルの力を借りましょう。

一番効果的なのは、ネット予約の受け入れです。打ちは比較的に年齢層が高いから・・と言われることもありますが、我々のクライアントも同様です。40代、50代、60代の方でも当たり前にネット予約をします。もちろん全てがネットになることはありませんが、クライアントの事例を踏まえるとエリアや推奨度合いによりますが、30~60%程度はネット予約に切り替わります。

また、最近ではお客様に車の状態をより分かりやすく伝える方法はないか?ということで、車検記録簿をAIに分析させ、お客様向けに図や表、イメージ画像を入れた車検レポートを出そうとしている企業もあります。レポートには、

  • 今回の車検の結果
  • 作業した項目、各項目の中で重要度の高い作業についてはその解説
  • 近いうちに再度点検や部品交換が必要になる可能性の高い箇所

など、が記載されます。

これは、記録簿を写真に撮りその写真をAIに渡し、『レポート作成して』というだけで完成します。(※AI活用については様々な注意点がありますので、詳しくはご相談ください。)

ここで理解していただきたいのは、お客様が感じる価値は『整備の品質』ではないということ。残酷ですが、仕方のないことで整備のクオリティが高いかどうか、お客様は判断する基準がないのです。

そのため、整備工場の口コミを見ていると『対応が良かった』というようなものが多いことに気付くと思います。

お客様の感じる価値を上げるためには、先ほど挙げた『接客・応対』に加えて、『利便性』の観点で進めていくことが重要です。

次回は、生産性を上げるためにどのように集客を増やすのか?

ボリュームが増えすぎたため、次回も生産性向上をテーマにコラムを書かせていただきます。

次回は、生産性を向上させるためにどのように集客するか?について書かせていただきます。

ポイントは、ただ"集客を伸ばす"話ではありませんだけでなく、"生産性向上のため"の集客であるという点です。

是非、次回もお読みいただけますと幸いです。

執筆者 : 浜中 健太郎

船井総研に入社後、建設業・管工業・設備工事業向けのコンサルティングに従事。その後モビリティ支援部にて整備部門向けの業積アップコンサルティングを行っている。 また弊社で開催している車検アカデミーでは講師・ファシリテーターを務めている。